「時制 tense」という文法単元のなかの「単純未来」の話です。
実は英語に「未来形」というものはありません。
動詞の現在形や過去形はありますが、未来形は見たことがないでしょう。
あるのは未来時制 future tense、もしくは未来表現 future expression だけです。
助動詞の will がよくこの未来表現に登場しますが、will 自体に「未来」の意味はありません。
助動詞の will が意味していることは基本的に2つだけです。
1つは自分の中で湧きあがって決定した「意志」であり、
もう1つは、多分こうなるだろうという「予想」です。
これが文脈上、未来の事を指していると判断されるので will が未来表現の単語と思われているだけです。
will だけではなく、他の助動詞 must, should, can, may を使っても未来表現は作れます。
実はこの未来表現を理解する上で一番大事なことは文の作り方やその訳し方ではありません。
未来表現が表している話し手の真意やその内容の信憑性、文脈に含まれている未来の事象の「不確実性」をしっかり把握しながら内容を読み取ることが最も大事なことです。
「単純未来」とは
実はこの「単純未来」、英語にこれに該当する言葉が見当たりません。
あえて言うなら simple future tense でしょうか。
この「単純未来」の例文を少し見てみましょう。
Judging from the clouds, it will rain tomorrow.
「雲の様子から判断すると、明日は雨だろう。」
※これは天気予報のアナウンスではなく、予報好きな話し手の主観的な予想です。
The heavy snow has stopped, and trains will resume operation at 5 o’clock.
「大雪も止んだし、5時には電車の運転を再開するだろう。」
※鉄道運行会社の正式なアナウンスではなく、足止めを食らった乗客の希望的な予想に過ぎない。
You will feel better if you take a week off.
「1週間休めば気分も良くなるさ。」
※相手に配慮した話し手の希望的な予想、励まし。
単純未来は話者の意志に関係なく、おそらくそういう展開なるだろう、こんな事になるだろうという「話者が主観的に予想している未来」を表しています。
自分の意志でコントロールできない、「そうなってしまうだろう」という予想です。
助動詞 will の担っている前述の「予想」の意味がこの表現に用いられています。
ただし、注意しなければいけないのは、この未来表現、中味はあくまで話し手の頭の中にある「予想」であって、確実にそれが起こると断定できないことです。
個人の「予想」など、実際には外れることがあって当たり前です。
ですから、この「単純未来」の表現は「話し半分」で聞いておくことが大事です。当てにならない話なのです。
したがってこの will を用いた未来表現には必然的に「不確実性」が伴います。
逆に言えば、確実に起きるであろう未来、確実に実施されるであろう予定を表す文にはこの will を始めとした話者の「思い」を意味する「法助動詞」を使ってはいけません。
未来表現に法助動詞を使った瞬間、その文は不確実で無責任なものに変ってしまいます。
助動詞を使った文というのは主観的で無責任で不確実なもの。
こう思っていただいて結構です。
「単純未来」をまとめると
1、ここで使われる will はあくまで話者の主観的な「予想」である。
2、” will “ を使っているということは内容の確実性が当てにならないということ。
3、確実に起きること、確定している予定には法助動詞を使ってはならない。
※これは「確定未来」の表現で、未来表現でも動詞の現在形を用いる。
この3つが大事なポイントです。
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。