英語の長文には接続詞の that が頻繁に登場します。
この that の役割を理解することで、速読力が飛躍的にアップし、作文力がグンと伸びるので、ぜひ、しっかり覚えておきたいところです。
that は非常に便利な接続詞で、SV構造のある文、節の先頭に that を置くと後ろに続く節は名詞節、形容詞節、副詞節のいずれかに変身します。
その節が主語、目的語、形容詞、副詞に変化するわけです。
以下、品詞としての that 節の見分け方について整理します。
1.関係代名詞の that
これは形容詞節を作る接続詞の that です。
直前にくるのは必ず名詞。これを「先行詞」と呼びます。
この先行詞(名詞)を関係代名詞を先頭においた関係代名詞節が修飾して説明を付け加えているわけです。
先行詞には条件が絞り込まれていない、ほとんど限定されていない漠然とした名詞が使われます。
that 以下の「関係代名詞節」は必ず名詞、代名詞のいずれかが一個欠けています。主語か目的語のどちらかがありません。
これを「不完全文」と呼びます。
「先行詞、不完全文、完全文」という文法用語は「関係詞」の文法単元だけに使われるものです。
主語を欠いているものを「主格の関係代名詞」、目的語を欠いているものを「目的格の関係代名詞」と呼びます。
実際の英文ではこの「目的格の関係代名詞」はほとんどの場合省略されています。文中で名詞の後に主語、他動詞が続いて、後ろにあるべき目的語(名詞、代名詞)がなかった場合は「目的格の関係代名詞節」と判断しましょう。
2. 副詞節をつくる that
この that の直前にあるのは形容詞か副詞です。
that 以下の節には主語、目的語が揃った完全文がきます。
この that 節が直前の形容詞もしくは副詞の修飾語として「それくらい、これくらい」といった「程度」の情報を付け加えています。
so~that 構文の that がこれです。
3. 名詞節をつくる that 【その1】
接続詞の that の役割の主たるものがこれです。
普通の節(完全文)の先頭にこの that を付ければその節全体が名詞節に変化します。「~ということ」といった意味に変わります。
この that 節はほとんど場合、他動詞の目的語として使われています。
他動詞の直後にこの that 節が続いていたら、即座に目的語だと判断しましょう。
この that 節は名詞節ですから当然主語としても使えますが、頭でっかちの長々としたものになるので実際にはあまり見かけません。
4. 名詞節をつくる that 【その2】
これが今回のテーマ【 同格の that 】です。
直前にあるのは名詞です。名詞の直後に that 節がくる点で関係代名詞の that と同様ですが、同格の that の場合は主語、目的語を欠いていない「完全文」が続きます。
「名詞+名詞」という具合に同じ品詞で並べて前の名詞を修飾しているので「同格修飾」と呼ばれます。
“ I Abraham Lincoln the president of The United States “
といった感じです。
役割的には「関係代名詞と同じような仕事」と考えて良いでしょう。
関係代名詞の that との大きな違いは、その直前に置かれる名詞です。
関係代名詞の場合、前述したように直前の名詞(先行詞)には漠然とした説明の足りない一般的な名詞がきて、関係代名詞節が情報を付け足して絞り込んで「限定」していく役割を果たしています。
一方、「同格修飾の that 」の直前に置かれるのは説明がなければ具体的な中味が何のか全然わからない「抽象名詞」です。
この that 節は「~という」訳を伴って直前の抽象名詞に係っていきます。
整理すると「名詞+ that 節」には関係代名詞と同格修飾の2つがあり、
・関係代名詞の that の前には漠然とした情報の足りない名詞があり、関係代名詞の後ろには不完全文がくる。
・同格修飾の接続詞 that の前には内容の分からない「抽象名詞」があり、that の後ろには完全文がくる。
ここがこの2つを分けるポイントです。
以下に、代表的な同格修飾の that 節を従える名詞【 fact, news, idea, remark, feeling, order 】とその仲間を挙げておきます。
こういった名詞の直後に that が来たら、「同格修飾の that だ!」と判断しましょう。
fact (事実、発見)のグループ
advantage(利点) agreement(一致) conclusion(結論) discovery(発見) evidence(証拠) possibility(可能性)
result(結果) truth(真実)
No one can deny the fact that the Democratic Party’s foreign policy failures caused that war.
「民主党の外交政策の失敗がその戦争を引き起こしてしまったという事実は誰にも否定できない。」
news (情報、知らせ)のグループ
information(情報) message(伝言) prophecy(予言)
report(報告) rumor(噂)
Many nationalists around the world were encouraged by the news that Japan had won the Russo-Japanese War.
「日本が日露戦争に勝利したというニュースに、世界中の多くのナショナリストが勇気づけられた。」
idea (考え、見解)のグループ
belief(信念) hope(希望) opinion(意見)
knowledge(知識) thought(考え) view(見解)
The idea that accepting immigrants unconditionally is the right thing to do should be reconsidered.
「移民を無条件に受け入れることが正しいという考えは、再考されるべきだ。」
remark (発言、主張)のグループ
claim(主張) confession(告白) complaint(不平)
excuse(言い訳) reply(返事) statement(声明)
explanation(説明)
The expert remarked that activities to host the Olympics should not be held for a while.
「その専門家は、オリンピックを招致するための活動はしばらく行わない方がいいと発言した。」
feeling (気持ち、感覚)のグループ
anxiety(不安) determination(決意) pride(誇り)
decision(決心) supposition(仮定) recognition(認識)
The coach had a feeling that something miraculous was about to happen when he saw the expressions on the players’ faces before the game.
「監督は試合前の選手たちの表情を見て、何か奇跡が起こりそうな予感がした。」
order (要求、願望)のグループ
demand(要求) suggestion(提言) command(命令)
duty(義務) proposition(提案) request(要望)
The President gave orders that the Navy should launch cruise missile attacks on five military bases.
「大統領は、海軍が5つの軍事基地を巡航ミサイルで攻撃するよう命令を下した。」
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。