今回は引き続き『分詞構文』participial constructionについて取り上げます。
前回からの繰り返しになりますが『分詞構文』というのは『複文』complex sentenceつまり一つの文にSV(主語、述語動詞)構造が二つあり、これが対等な関係になっていない文をSV構造が一つだけの文『単文』simple sentence に置き換えたものです。
この「分詞構文」は複文の中の副詞節を書き換えたものであり、副詞節から接続詞と主語を取り除きこの副詞節で使われている動詞を現在分詞 Ving に置き換えた「副詞のカタマリ」のことです。
前回はこの分詞構文について基本的な形を説明しましたが、今回はその注意すべきポイントについて取り上げます。
以下、ポイントの要約と例文を合わせご覧ください。
1.分詞構文の前に主節の主語と異なる別の主語がある場合は『独立分詞構文』absolute participial constructionと呼ばれる。
※分詞構文と主節の主語は普通同じである場合が多い。違う場合は分詞構文の前に置いて「主節の主語と違う」ということを明確にしています。
The weather not being good, they hesitated to attack the summit.
「天候が良くなかったので、彼らは山頂へのアタックを躊躇していた。」
The enemy having begun to retreat, his troop changed strategy.
「敵が退却し始めたので、彼の部隊は作戦を変更した。」
2.分詞構文の時制が主節の時制より以前のものであれば「完了形」を使って表現する。
分詞構文はHaving+過去分詞~で始まる。
Having visited Kamakura before, he didn’t want to visit it again.
「彼は以前、鎌倉を訪れたことがあるので、再び訪れたいとは思わなかった。」
Having seen her before, he recognized her right away at the party.
「彼は彼女に会ったことがあるので、パーティ会場でもすぐ彼女のことが分かった。」
3.being+過去分詞、having been+過去分詞ので始まる分詞構文の場合は普通 being, having been は省略され、過去分詞から分詞構文が始まる。
※これを「過去分詞で始まる分詞構文」と思っている人が多いのですが、これはbeing, having been が省略されているだけです。
分詞構文で使われる分詞は全て現在分詞です。
Stolen the bike that he had just bought, my son was disheartened.
「買ったばかりの自転車を盗まれ、息子は落胆した。」
Spoken in plain Japanese, the speech was easy for John to understand.
「平易な日本語で語られたので、そのスピーチはジョンにとっても理解しやすいものだった。」
4.分詞構文の前に置かれる接続詞は after, if, though, while, when に限られる。その場合はこの接続詞の後ろの主語とbe動詞が省略された形になる。
Though admitting that he has great talent, I still think it’s too early to entrust him with this big role.
「彼に優れた才能があるのは認めるが、この大役を任せるには時期尚早だ。」
If managed budgets properly, there would never be any criticism of wasting taxpayer money.
「もし、予算が適切に管理されるのなら、税金の無駄使いという批判は決して起きないはずだ。」
When operating dangerous machinery, you must follow the instructions. 「危険な機械を操作する場合は必ず指示に従って下さい。」
5.否定形の場合はnot/never+現在分詞、not/never having+過去分詞、having never+過去分詞の形になる。
Not having a powerful rival, the group quickly began to break apart.
「強力なライバルがいないため、そのグループはすぐに仲間割れを始めた。」
Never having been to Japan before, Mary was very anxious when she arrived at Narita Airport.
「日本に来たことがないメアリーは成田空港に到着した時とても不安だった。」
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。