今回は時制 [tense] の話しです。
「動詞の現在形はいつのこと?」と尋ねると、ほとんどの中学生、高校生は「え?今のことじゃないんですか?」と答えます。
実は「動詞の現在形」は「今現在、この時」のことを表しません。
過去、現在、未来にわたって繰り返し行われる動作、行動あるいは持続的な状態を意味します。
[He plays soccer.]は「彼はサッカーをします。」ではなく、いつもサッカーしてるよ、つまり「彼はサッカー部です。」あるいは「サッカー選手」であることを意味しています。
[He goes to college]は「彼は大学へ行きます。」ではなく、大学に通っているよ、つまり「彼は大学生です。」[He is a college student.] の意味です。
この「動詞の現在形」の使われ方は大学入試や英検、TOEICの頻出問題です。この機会にぜひ確認しておきましょう。
以下、現在形のポイントです。
1.現在形には動詞の原形を使います。
2.基本的に現在のことは現在形で表現できません。
3.現在を中心に過去、未来にわたる持続的な性質、状態を表します。
4.不変の真理、社会通念は現在形で表します。
5.新聞の見出しは過去のことでも現在形で表すことが多い。
1.現在形には動詞の原形を用いる。
※もちろん、三人称単数の場合には -(e)s をつけます。
「ス」「ズ」「シュ」「チ」「ジ」で終わる場合は es をつける。と覚えればわかりやすい。
miss→passes
realize→realizes
push→pushes
watch→watches
y の前が子音だったら y を i に変えて es をつけます。
try→tries
imply→implies
2.基本的に現在のことは現在形で表現しない、できない。
※現在形の時制は今を中心にした過去、未来を含んでいます。
今の一瞬を現在形で表すことはほとんどありません。
今現在のことを表現するには基本的に現在進行形か現在完了形を用います。
3.現在を中心に継続している状態
※昨日も今日も明日も同じという意味です。
My daughter is sixty years old.
「私の娘は60歳です。」
(昨日も今日も明日も誕生日が来るまでは当面の間60歳です。)
His grandparents live in Yamanashi.
「彼の祖父母は山梨に住んでいる。」
My acquaintance has three kittens and one dog.
「私の知人は三匹の子猫と一匹の犬を飼っています。」
Dogs like outings.
「犬は外に出るのが好き。」
4.習慣的な動作、反復的な出来事
※いつもやっていることです。これまでやってきたし、これからも続けていくことです。
My husband usually gets up at nine and listens to Mozart over a cup of coffee.
「うちの旦那様はいつも9時に起きてコーヒーを飲みながらモーツァルトを聴くのよ。」
Ms. Gray teaches Tsugaru Jamisen to us girls every Thursday.
「グレイ先生は毎週木曜日に私たち女子に津軽三味線を教えてくれています。」
5.現在を中心とした持続的な性質、状態
※昨日も今日も明日も変わらないことです。
This soybean paste consists of soy, malt, salt and Hida water.
「この味噌は大豆、麹、塩と飛騨の水で造られています。」
A fine weather friend isn’t a friend indeed.
「調子のいい時の友は本当の友ではない。」
6.現在のことを表現するには現在進行形か現在完了形を用いる。
John is playing a video game in his room.
「ジョンは自分の部屋でゲームをしてるよ。」
Spring has come.
「春が来た。」
(今、まさに春爛漫です。)
※例外的に現在形が現在のことを表すのは次のような表現です。
動詞一語で今を強調しているわけです。
Now listen -I tell you the correct answer.
「さあ聴いて。正解を教えるよ。」
Here comes our gyoza dumplings.
「さあ、(注文した)餃子が来たぞ。」
Here you are.
「さあ、どうぞ。」
7.公共交通機関の往来発着や未来のことでも確定している場合は現在形を使う。
※現在形は未来の事を表現することもあります。
確定している未来には現在形を使います。will は使いません。
電車やバスの発着時刻は確定していて毎日定時に繰り返されているわけですから、話し手の意志、思い入れ、推量を表す助動詞のwillは必要ないわけです。
His school starts on April 1st.
「彼の学校は4月1日に始まる。」
Next express train starts at 5:40.
「次の特急は5時40分に出発する。
Tomorrow is my beloved wife’s birthday.
「明日は愛妻の誕生日なんだよ。」
8.時、条件を表す副詞節の中では未来のことでも現在形を使う。
※「~するとき」「~だったら」という条件は話し手の気持、意志とは関係がありません。よって will は使われません。大学入試問題に頻出です。ぜひ押さえておきましょう。
I’ll return the dictionary when I see her tomorrow.
「明日彼女に会ったら辞書を返すよ。」
Let’s play Mahjong together if dad gets home early today.
「今日お父さんが早く返ってきたら、みんなで麻雀しよう。」
Shall we go to Toyama if it is fine this Sunday?
「日曜日に天気が良かったら富山に行かないか?」
9.不変の真理、社会通念
※過去も現在も未来も変わらない。いつも同じと考えられていることです。これも大学入試に頻出です。
Water boils at 100 degrees Celsius.
「水は摂氏百度で沸騰する。」
The earth orbits the sun.
「地球は太陽の周りを回っています。」
A friend in need is a friend indeed.
「困った時の友が、真の友。」
10. 新聞やニュースの見出し
※新聞や雑誌、ニュースの見出し[Headline]では過去の事でも
現在形で表現されることがほとんどです。
[80-Year-Old Miura Yuichiro Scales Mount Everest.]
「80歳の三浦雄一郎、エベレストに登頂」
[Former President attends a rally in Florida]
「前大統領、フロリダでの集会に参加」
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。