帰国子女の皆さんはどれ位の英語力なんでしょうか
もちろん、一概には言えません。
今回は私が英検1級の二次試験を受けた時の話です。
あくまで個人的な印象です。
もう数年前になりますが、春の英検でやっと念願の一次試験に合格。
しかし、二次試験の直前に突然、父の訃報。
当然、英検どころではありません。
二次試験の受験は秋に持ち越しとなりました。
(一次試験の合格は1年間有効です。一次試験免除で二次試験のみの受験が可能になります。)
そして、ようやく晩秋の名古屋の某所にて二次試験(面接)を受験することになりました。
肌寒い、小雨の中、会場である語学の専門学校に到着。
ミッション系の学校でしょうか、階段の踊り場には美しい聖母マリアのステンドグラスが飾ってありました。
私には昼過ぎの時間帯が指定されていました。大教室と思われる待機室には同じ時間帯の受験者が左側に英検1級、右側に準2級と座席が分けられています。
それぞれ大体25名前後といった人数でしょうか。
準2級のグループには明らかに小学生と思われる利発そうな男の子がお父さんに付き添われて座っています。
ほとんどが中、高校生らしき中にあっての小学生。当然目立ちます。
自慢の息子さんでしょう。
さて、指定された席に着くと係りの人から受験心得の案内書と首にかけるジップロックのような透明な小袋が渡されます。
当然ですが、この待機室に着いた段階で携帯電話、スマホは使用禁止。電源をオフにして首に下げるよう指示されます。ここで外部との連絡は遮断されます。
あとは面接開始時刻になると受験者一人一人が案内されて、数か所あるそれぞれの受験会場に向かいます。
「ああ、やっとここまで来たぞ。あともう少し、あともう少しで英検1級に手が届く!」
不安と期待、これまでのことを色々考えて静かに椅子に腰かけていました。
私はここで初めて英検1級の一次試験に合格された方たちに会うことができました。
思い起こせば、今までなんと孤独だったことか。(少し大袈裟ですが)
私の勉強は完全に独学で我流。周りに励ましあう仲間もいなければ、切磋琢磨しあうライバルもいませんでした。
一次試験を受験する地元の地方都市の短大でもいつも「同志」はいつも3,4人しかいませんでした。二人だけの時もありました。
この待機室では面接試験の開始時間まで比較的に自由です。立ち話も自由ですし、本や雑誌を読んでもOKです。
私の隣の若い女性はバックから分厚い英書のペーパーバックを取り出して読み始めます。
「やはり1級を受けるようなお嬢さんは日頃からこんな本を読んでいるんだな。」
などと独学オヤジは心の中でつぶやきます。
「どんな人たちが二次試験を受けに来ているんだろう?」
周囲を見回します。
私と同年代の人は、私より一回り年配と思われる白髪の男性一人と私と同年代と思われる女性一人のみ。
その他は?…
「えっ?子ども?高校生?」
若い。若すぎる。
私の予想では「若くても大学生、大半が30代から40代、もしくはそれ以上の年配者が大半であろう。」こんな予想でした。
しかし、このグループのほとんどは明らかに私の息子たち(当時)と同年代(高校生?)なのです。
この光景は私を少なからず動揺させました。
「いや、ここは落ち着こう。世間は広いのだ、一生懸命、英語を勉強している素晴らしい若者たちだ。自分の面接試験に集中しよう。」
しばらくすると後方の数か所からこの若者たちの私語が聞こえてきます。
独学オヤジの2度目の衝撃。
「英語だ。英語で話している。しかも発音も完璧だ。ネイティブなのか?」
また振り返って確認してみます。外国人と思しき風貌の人はいません。
私は確信しました。
「帰国子女だ!この子供たち(失礼。)は帰国子女なんだ!」
すると先ほどの年配男性、私と同じ思いだったのか、窓際で話している男子2人に近づいて遠慮なく積極的に尋ねます。
白髪男性:「あの、君たちは帰国子女なの?。」
男子:少し当惑して「ああ、はい。」
白髪男性:「やっぱり、英語うまいね。」
男子:苦笑して「いや、実は日本語の方が不自由なんですよ。」
白髪男性の方ありがとうございます。確認していただいて。
私:心の中で「キミ、今何て言った? 日本語が不自由?!」だって?
独学オヤジ、これが人生最初の帰国子女との遭遇でした。(大袈裟ですが)
私が子供の頃、「帰国子女」という言葉はありませんでした。
私の知り合いにも帰国子女の方はいません。
「帰国子女」。。なんて「エキゾチック」な響きの言葉でしょう。
確かに英検協会のホームページで合格者の内訳を確認するとかなりの数の高校生が英検1級に合格しています。(今は非公開)帰国子女がそのうちどれ程の割合を占めているのかわかりませんが、かなりの数になるだろうというのが私の推測です。
英検は年々難しくなってきている。そういった声もよく聞かれますが、多くの帰国子女の皆さんの受験もその理由の一つでしょうか。
私はこの時の面接で合格。一次試験は四苦八苦であんなに苦労したのに二次試験は無事一発合格、英検1級取得となりました。
私の英語もネイティブ並み?
いやいやとんでもございません。
私が合格できたということはつまり英語を流暢に話すということが二次試験突破の絶対条件ではないということですよ。
それでしたら世界中の英語ネイティブはだれでも簡単に英検1級とれてしまいますが、そんなことはないでしょう。
話す内容と伝えようとする強い意志。あと、開き直りと度胸。これだと思います。
英語学習者の皆さん! 日本生まれの日本育ち、純ジャパで全然大丈夫ですよ!
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。