「未来完了形」「未来完了進行形」とは未来のあるポイント(時)までの継続的な動作、状態を表現しています。
この「継続の感覚」が完了形perfectの本質であることは前記事で述べた現在完了形、現在完了進行と同様です。
現在完了形、現在完了進行形ではこの「継続」の起点が過去、終点が現在になっているのに対して未来完了ではその終点が未来に置かれています。
「継続」「経験」「完了」「結果」の4つのベースは共通していますが、現在完了は事実を述べているのに対して、未来完了は「こうしているであろう」「こうなっているだろう」という主観的な予想、推量を表現しています。これが助動詞のwillを用いる理由です。
ただ、この未来完了形は V(述語動詞)が助動詞+動詞で3つ、未来完了進行形の場合は4つも並ぶため非常に重い表現になります。
実際には未来時制や現在完了形で代用されている場合がほとんどです。
このために英語学習者にとってこの未来完了形を目にする機会が少なく、少し馴染みのないもの、見慣れないものになっています。
それではこの未来完了において「継続を表す」ものはなにか? というと
「動作、状態が過去、現在から未来まで続いていること表すためにその終点を示す語句、表現が必ずある。」ということです。
この点に着目しながら以下で未来完了の4つのポイントを見ていきましょう。
1.継続(ずっと~だろう)(ずっと~しているだろう)
2.経験(~たことになる)
3.完了、結果(~し終えてるだろう)
4.未来完了の代用、似た表現
まず、
1.継続(ずっと~だろう)(ずっと~しているだろう)
・状態動詞が使われる場合→ will have + 過去分詞
・動作動詞が使われる場合→ will have + 過去分詞
・動作動詞で未来完了進行形をつくる場合→ will have been + 現在分詞
※基本的に状態動詞は未来完了進行形には使われません。
・終点を表す by, by the time (~までに), until (~までずっと), next week, next monthといった表現が必ずあります。
※ by は(~まで)という「期限」に視点を置き、until は「~までずっと」という「継続」に視点が置かれています。
I will have been at this workplace for 23 years next month.
「私は来月で23年間この職場にいることになります。」
You will have been studying English for 12 years by the end of March.
「皆さんは3月の末で12年間英語を勉強していることになるんですよ。」
We will have lived here for thirty years next year.
「来年でここに住んでここに住んで30年になります。」
In an hour, he will have been doing meditation for half a day.
「あと1時間で彼は半日座禅をしていることになる。」
By tomorrow, the state of emergency will have continued for a month.
「明日で非常事態宣言が1か月続いたことになります。」
2.経験(~たことになる)
・「経験」の場合、未来完了進行形はありません。
・動作動詞が使われる場合→ will have +過去分詞
・状態動詞(be動詞)→ will have been to(行ったことになる)
・「~の時」「~した時」「もし~だったら」といった、未来の時、条件を表す副詞節では未来のことを現在形で、未来完了形を現在完了形で表現します。これは英文法の鉄則、よく出題されるので覚えておきましょう。
He has decided to visit Aomori this spring, Then he will have been there four times.
「彼はこの春青森に行くと決めたよ、すると4回そこに行ったことになる。」
If I go to the cinema again next week, I’ll have watched this movie three times.
「来週また映画館に行ったら、僕はこの映画を3回観ることになる。」
If you fail again, you will have lied to us twice.
「もし君がまた失敗したら、君は2度私たちに嘘をつくことになるよ。」
If you fail in this investment, you will have gone bankrupt completely.
「もしこの投資に失敗したら、君は完全に破産するだろう。」
If his fever goes down by tomorrow morning, he will have overcome the disease.
「明日の朝までに彼の熱が下がっているなら、彼はこの病気に打ち勝ったことになるだろう。」
When he arrives at Yokohama tomorrow, he will have crossed the Pacific Ocean alone.
「明日横浜港に着いたら、彼は単独で太平洋を横断したことになる。」
3.完了、結果(~し終えてるだろう)
・使うのは動作動詞のみです。
・形は will have+過去分詞
We will have finished supper when dad gets home.
「お父さんが帰るころには私たち夕食を済ませてるわ。」
The rain will have turned into snow by late at night.
「雨は夜更け過ぎに雪へと変わっているだろう。」
They will have built a house by the time you visit there next time.
「あなたが次にそこを訪れるまでに彼らは家を建て終えているだろう。」
All the people will have been vaccinated by next winter.
「次の冬までには全国民がワクチン接種を終えているだろう。」
By the time you come back from the bathroom, the match will have been settled.
「君がトイレから帰ってくる頃にはこの試合の決着がついているだろう。」
4.未来完了の代用、似た表現
Taro will finish his summer homework by tomorrow.
「太郎は明日までに夏休みの宿題を仕上げるだろう。」
(未来完了形の代用です。未来形で表現)
You will have read the report?
「もうその報告書は読みましたよね?」
(これは未来完了形ではありません。この場合の will は未来表現ではありません。気持を被せて念を押しているくどい表現です。)
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。