「時、条件を表す副詞節では未来の事でも will は使わず、現在形を用いる。」
「未来の事を述べている名詞節では will を用いる。」
これは時制の問題で必ずと言っていいほど頻繁に取り上げられる基本事項です。
この場合、接続詞の if と when この2つが副詞節、名詞節を導いていることがほとんどです。
if : 副詞節では「もし~だったら」、名詞節では「~かどうか」という意味で使われます。
when : 副詞節では「~した時に」、名詞節では「いつ~するかどうか」という意味で使われます。
「未来において、条件を表す副詞節では will を使わず、現在形を用いる。名詞節、形容詞節ではwillを使う。」
こういう文法のルールを文言通りに暗記して覚えることにはあまり意味がありません。
なぜそのようなルールになっているのか?
willという助動詞の本質を考えて理解する方がよりしっかり身に付きます。
具体的にどんなことなのか?
例文を見てみましょう。
時、条件を表す副詞節。willは使いません。
I will tell her the truth when I see her next week.
「来週彼女に会ったら本当のことを話すよ。」
※when I see her next week は will tell にかかる副詞節。
彼女に会うのは明日という未来ですがwillは使いません。
動詞の現在形を使います。
Will you go to Sendai if it is fine this weekend?
「今週末晴れたら仙台に行きますか?」
※If it is fine this weekend は go にかかる副詞節。
今週末という未来の話ですが、ここでもwillは使いません。
動詞の現在形を使います。
続いて名詞節、形容詞節です。ここではwillが使われます。
I don’t know if he will come on time tomorrow.
「明日彼が時間通りにやって来るかどうか、分からない」
※if he will come on time tomorrow は他動詞 know の目的語になっている名詞節。
このwillは話し手の予想、推量を表す未来表現。
The evolution of spintronic semiconductors will bring us the era when we will have battery-free smartphones.
「スピントロニクス半導体の進化により、バッテリー不要のスマートフォンの時代が到来するだろう。」
※when we will have battery-free smartphones は the era を修飾する形容詞節。
このwillも話し手の予想を表しています。
助動詞 will の本来の意味
will という助動詞が担っているのはその場で湧きあがった「こうしようという意志」と「たぶんこうなるだろうという予想、推量」の2つです。
副詞節ではこれから起きるであろう未来の事でも、それはあくまで「こうなった場合にこうなる」という仮定上の「条件」であり、「こうしよう」という意志でも「こうなるだろう」という予想でもありません。
動作の主体が抱いている「気持ち」(will)はその「条件」に全く影響しないし、未来に起きる事象に何の変化も与えません。
よってwillは全く不要な意味のない語ですからここで用いられることはありません。
ところが名詞節、形容詞節を作っている未来表現は話し手が気持ちをつかさどる法助動詞を使って「頭の中で思いを巡らせている」意志、予想ですからwillが必要になるわけです。
will に限らず他の法助動詞 must, should, can, may も全て現実に起きていなこと、行われていないことに対して「気持ち」を被せる役割で使われます。
名詞節、形容詞節では未来の事に対する「気持ち」を予想という形で被せているので未来表現の will が使われます。
一方、副詞節は同じく未来のことであっても「気持ち」とは全く関係のない、影響を及ぼさない「時や状況」といった条件を表しているので未来表現の助動詞 will は不必要な語になるということです。
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。