no more than と not more than についてはこれまで何度も取り上げてきました。
比較表現で学習者が最初に戸惑う表現です。
しかし、以下のように覚えてしまえば意味を取り違えることはありません。
no more than = only たったの
not more than = at most せいぜい
no less than = as many as / as much as ~もの
not less than = at least 少なくとも
以上4つの表現については難しく考えずそのまま覚えてしまえばよろしいと思います。
以下はこれに付随したちょっと脇道にそれた話です。
実はこういった表現の意味を捉えることを難しく、まぎらわしいものにしているのは
[not] と [no] の違いです。
この2つの言葉はどちらも否定の副詞として使われているわけですが、
1.[not] は客観的で素直な単に「~でない」
2.[no] には話し手の感情、気分を込めた「決して~でない」
数が「0」である。
という意味があります。
つまり、 [not + 比較級] は単純に「~でない」という意味であり、
[no + 比較級]には「決して(比較級)なわけではない」という強い感情、否定が込められているわけです。
よって[not + 比較級]は単純な否定、[no + 比較級]は同程度と理解すればわかり易いかと思います。
例文を見てみましょう。
She is not less beautiful than her mother.
この場合 not は単に後ろの less を否定、打ち消していますから、
まず、not のない分全体 She is less beautiful than her mother.「彼女は母親より美しくない。」これを否定することになりますから、
この文は「彼女は母親よりも美しい。」という意味になります。
一方、
She is no less beautiful than her mother.
この場合 no は決して less ではない、つまり差がない、同程度であることを表現していますから、この文は「彼女は母親と同様に美しい。」という意味になります。
繰り返しになりますが not + 比較級 は否定、no + 比較級は同程度と覚えておけば理解しやすいと思います。
以下の例文で再確認してみましょう。
Germany’s GDP is not larger than that of Japan.
「ドイツのGDPは日本のそれより低い。」
His father is not taller than he.
「彼の父親は彼より背が低い。」
Germany’s territory is no larger than that of Japan.
「ドイツの領土は日本のそれと同程度だ。」
He is no taller than his father.
「彼は父親と同じくらいの背の高さだ。」
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。