慣用表現

受験生なら絶対覚えておけ!『クジラ構文』と呼ばれる難関の比較表現【 no more~than 】”A whale is no more a fish than a horse is”はこれを読んで完璧に理解しろ!

今回は比較表現の一つ、よく受験生に「クジラ構文」と呼ばれている英文の話です。大学受験だけでなく英検その他の試験にも頻出の比較表現です。

文法書の例文でクジラが引き合いに出されるのでこういう名前で呼ばれています。

以前の記事で紹介した形のno more thanと違い、こちらはno more~thanという形でmoreとthanが離れている表現です。

比較表現には注意深く眺めると理解できるものと、じっくり読んでも知識がないと判読できないものがあります。これが、「比較」という文法項目を難しいものにしています。

今回の比較表現も「あ、クジラ構文だ。」と認識できないと英文をしばらく眺めても「ちょっと何言ってるかわからない。」という類のものですから是非、文法知識としてしっかり押さえておきましょう。大学受験生には必須の表現の一つです。

これが「クジラ構文」です。

A whale is no more a fish than a horse is (a fish.)

この文を初めてご覧になる方、意味が理解できたでしょうか?
この文は普通、後ろの(a fish)を取って、

A whale is no more a fish than a horse is.
いう形でよく登場します。

意味は
「クジラが魚でないのは馬が魚でないのと同じことである。」

以下、この構文の2通りのパターンについて述べます。

1.A is no more B than C is D.

2.A is no less B than C is D.

まず、
1.A is no more B than C is D

「AはCがDでないのと同じくBでない」

「CがDでない」ということを例に出して、AがBであることも絶対に(no more)ないと than の前後両方を否定している表現です。

「AがBでない」ということに説得力を持たせたいのです。

A is no more B than C is.
「AはCがそうでないのと同様にBではない。」とも訳せます。

訳し方は以下の通り。

①「no more」 を否定の意味と判断し「not 」と考えてthan以下の文のbe動詞の後にこれをコピペする。

②thanを=(イコール)と考えてthanの前の文とthanの後ろの文をこの=で繋ぐ。
これで訳は完成です。


例文です。


He is no more talented in soccer than his father is.
「彼は彼の父同様、サッカーの才能がない。」

A country without a constitution is no more a country than a body without spirit is a human.
「精神を持たない肉体が人間でないのと同じく憲法のない国は国とは言えません。」

He is no more a coward than his father is.
「彼は父親と同じく決して臆病者ではない。」


次はno more をno less に変えた文です。


2.A is no less B than C is D

「AはCがDであるのと同じくBである。」

これは no more の文とは全く逆で「CがDである」ということを例に出して、AがBであることを断言している、つまり than の前後の両方を肯定している表現です。

「AがBである」ということを than 以下の文を引き合いにして説得力を持たせたいのです。

前述の例文のno moreをno less(肯定)に置き換えたことによって意味が真逆になります。

A is no less B than C is.
「AはCと同様にBだ。」とも訳せます。

例文です。
He is no less talented in soccer than his father is.
「彼は彼の父同様、サッカーの才能がある。」

He is no less a coward than his father is.
「彼は父親と同じく臆病者だ。」

Shinobu is no less beautiful than her big sister is.
「しのぶは彼女の姉同様に美しい。」

The junior disciples were no less dauntless in the battle of Sekigahara than their senior disciple was.
「後輩の弟子たちは、関ヶ原での闘いにおいて、先輩の弟子と同じように勇敢であった。」

繰り返しますが、
①no more(否定)やno less(肯定)の意味をコピペしてthan以下のbe動詞につける。

②thanをイコール(=)と考える。
これがポイントです。


今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。

関連記事
前置詞

何となくわかった気になるな!この因果関係を明確にしろ!【because of, on account of, thanks to, due to, owing to, from, of, over, through, with】「~のために」「~のせいで」といった原因や理由の表現、前置詞のニュアンスはこう理解しろ!

英語に再挑戦
「~の原因、理由で」「~のために」「~のせいで」を表す句、前置詞についてまとめてみました。 それぞれの後ろには基本的に名詞がきますので …
比較

これは入試に必ず出るから曖昧にしておくな!【 no more than と no less than 】【 not more than と not less than 】比較表現の定番問題だ!話し手の期待感とがっかり感を表現しているぞ!その意味の違いがこれでハッキリ分かるはずだ!

英語に再挑戦
比較表現は英文法の中で最も難しい項目だと思います。 例えば長文中に分詞構文や関係詞、倒置の表現が出て来ても何となく読めてしまうことがあ …
副詞

これは大学受験に出る「比較表現」の定番問題だ!だから必ず覚えろ! 比較級、最上級を強調する【much, far, even, still, a lot, by far 】「断然~だ。」という表現はこれだけ知ってればOKだ!

英語に再挑戦
比較級や最上級を強調する「ずっと~」「断然~」「ずば抜けて~」といった表現もよくTOEICや英検の問題に出されますので確認しておきたいところ …
比較

入試に必ず出てくるぞ!比較表現は英文法の最難関だ!【 the more~, the more, all the better, none the less】しっかり覚えてこの山を乗り越えろ!【 junior to, senior to, superior to, inferior to, prior to 】といったラテン語由来の than を使わない表現も確認!ぜひ身につけたい比較級を使った表現(その1)

英語に再挑戦
比較表現は少し難しい。 気合を入れて取り組みたい文法単元です。 今回は、ぜひ覚えておきたい比較級を使った表現。 形容詞の比 …
前置詞

これは入試で頻出だからしっかり覚えろ!【 day, dwell, way, look, result, make, succeed, wait, stand, drop 】 前後に置かれた前置詞が意味を変えてしまう紛らわしい単語の代表がこれだ!高得点を取りたかったらこれを完璧に覚えろ!

英語に再挑戦
今回はこれまで連続してお話ししてきた「一見似たように見える熟語でも形容詞や動詞とセットになる前置詞によって全然違う意味になってしまう代表的な …