今回は仮定法過去 subjunctive past です。
仮定法過去は基本的に条件節(もし~なら)と帰結節(~するのに、~なのに)から構成されます。
前回の「仮定法過去完了」の説明と同じくこの条件節の時制が直説法と比べると一つ過去にずれています。
仮定法過去では現在の事を ⇒ 過去形で表すので「仮定法過去」
と呼ばれます。
仮定法過去の条件節(If節)には「現在の事実に反していること」つまり「今、仮に~したら、~だったら」が引き合いに出されます。
これを仮定法過去完了の時と同じく「実際にはありえない条件」すなわち却下条件とよびます。
要するに条件節に「今、あり得ない話」を持ってくるということです。
意味は
「もし今~したら、だったら、 ~だろう」
基本的な形は:
「If S + 動詞の過去形~, S + 助動詞の過去形 + 動詞の原形~」
(条件節には現在の事実に反する話、帰結節にも現在の事実に反する話がきます。)
帰結節には必ず助動詞の過去形があります。条件節に動詞の過去形があったら、それは現実にはあり得ない事を条件にしているという事です。
If he were here, I would confess my feelings to him.
「もし彼がここにいたなら、私の想いを告白するのに」
(実際、彼はここにいないし、告白することもできない。)
※条件節の be動詞には were もしくは was を使います。
文法的に脈絡のない[were]が非現実であることのサインです。
※助動詞の過去形とは
could(~できるのに)
might(~かもしれないのに)
would(~するのに)
should(~するのに)
この4つ。
・would と should の違いは気持ちの強さ。should の方が強い。
・ここでの助動詞の過去形は全く過去を意味しません。
つまり仮定法過去とは、
現在の非現実(条件) ⇒ 現在の非現実(帰結)
現在のあり得ない事を引き合いに出して、どうにもならない現在の事を述べる表現です。
ただ、仮定法過去完了同様、実際の英文では条件節と帰結節が前後逆に置かれていたりしますし、条件節が無く帰結節だけで表現されている場合が多く見られます。これを「仮定法だ!」と見抜けるかどうかがポイントです。
それでは例文をご覧下さい。
If you had a hundred million yen, what would you spend it on?
「もし、一億円あったら、何に使う?」
If my father were still alive, he would never say that.
「お父さんが生きていたら、絶対そんなことは言わない。」
If I were in your position, I would resign immediately.
「僕が君の立場だったら、すぐに辞職するだろう。」
If I had any musical talent, I would dedicate a beautiful song to you.
「僕に音楽の才能があったら、君に素敵な曲を捧げるのに。」
If this sports car were 200,000 yen cheaper, I would buy it.「このスポーツカーがあと20万円安かったら買うのになあ。」
If friendlies knew the situation our troops are in, We would not suffer such misery.
「もし友軍が我々の部隊が置かれている状況を知っているなら、こんな悲惨な目に合っていなはずだ。」
If I had my smartphone at hand, I could show you her picture.
「手元にスマートフォンがあれば、彼女の写真をお見せできるのですが。」
過去はもう目の前に存在しません。
動詞を過去形にすることで非現実を表現している。
これが「仮定法過去」です。
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。