今回は最初に習う指示代名詞の that の話ではありません。
that は英文を読んでいるとよく出てきます。
でもなんとなく読み飛ばしていませんか?
頻繁に登場するこの that の役割がはっきり理解できるようになると、長文を読むチカラが飛躍的に向上するはずです。
実はこの that は「後ろにこんな文が続くよ。」という目印です。
もっとわかり易く言えば、この that の後ろには形容詞節、名詞節、副詞節のどれかが来る、そのサインだということです。
この点を理解すれば長文読解もかなりスッキリ理解できるはずです。
英文中の that の用法は以下の3つだけ。これが判別できればOKです。
1.関係代名詞の that (後ろに不完全文が来ます。)
2.同格修飾の that (後ろに完全文が来ます。)
3.接続詞の that (後ろに完全文がきます。)
※「完全文、不完全文」について初めて聞いたという方は以前の記事5文型の見分け方 この説明で、もう今日から大丈夫ですよ。をご参照ください。
1.関係代名詞の that
① that 以下の文(節)は直前にある先行詞(名詞)を修飾する形容詞節を作ります。
② that 以下の文は必ず主語あるいは目的語を欠いた不完全文です。
③日本語訳するときは that 以下を先に訳してから先行詞にかけます。
例文を見ていきましょう。
The girl that offered a pregnant woman her seat in the bus was a student of our school.
「そのバスの中で妊婦さんに席を譲った女子はうちの学校の生徒だった。」
(that の後に主語がない不完全文。)
This is the coldest winter that we have had in ten years.
「ここ10年で一番寒い冬だ。」
(had の後に目的語がない不完全文。)
次に
2.同格修飾の that
① that の前に必ず名詞があり、これを that 以下の名詞節が同格修飾します。名詞の後に名詞のカタマリが並んでいるということです。だから同格といいます。名詞+名詞節のカタチです。「~という~」と訳します。
②直前に名詞が来るところは関係代名詞の that と同じですが、同格修飾の that の場合、後ろには必ず完全文が来ます。その意味では接続詞のthat と同じと考えてOKです。ここが関係代名詞との違いです。
例文を見ましょう。
We heard a rumor that the prime minister may resign.
「私たちは首相が辞任するかもしれないという噂を聞いた。」
(that以下はSVの完全文。)
Is there any likelihood that my son will pass the exam?
「うちの息子がその試験に受かるという可能性はあるのですか?」
(that以下はSVOの完全文)
※同格のthatの直前でよく使われる名詞、代表的なものをあげておきましょう。
fact(~という事実)
news(~という知らせ)
impression(~という印象)
belief(~という信念)
idea(~という考え)
order(~という命令)
※前にある名詞を修飾しているという点では関係代名詞と同じですが、that による同格修飾の対象は基本的に発言、言及、考え、情報を表す名詞です。
3.接続詞の that
①まずは名詞節をつくる that です。後ろは必ず完全文です。名詞節ということはつまりこのカタマリが文中で主語、目的語、補語あるいは前置詞の目的語として機能しています。
これが英文中で一番多い that の使われ方です。
②前の形容詞を修飾する副詞節を作る that です。中学校で習う程度を表す so~that 構文がこれです。また、仮定法現在の構文でも使われます。
例文を見てみましょう。
Is it true that our principal has watched the movie?
「校長先生がその映画を観たって本当?」
(that 以下の名詞節が主語として使われています。長すぎるので it で代用しています。)
My suggestion is that we talk Teijiro into marrying her.
「貞次郎を彼女と結婚するよう私たちが説得してみてはどうか?」
(that 以下は補語のカタマリとして使われています。仮定法現在の表現で、we の後のshould が省略されています。)
I think that yajiro will reject our proposal.
「弥次郎は我々の提案を拒絶するだろう。」
(that 以下は他動詞の後の目的語のカタマリとして使われています。)
It is necessary that Takao say good-bye to Setsuko before he leaves the country.
「孝雄はこの国を発つ前に節子に別れを告げなければならない。」
(that 以下は形容詞 necessary を修飾する副詞節として使われています。仮定法現在の表現で Takao の後ろの should が省略されています。)
まとめです
1.関係代名詞のthat
・形容詞節を作る。
・後ろは主語か目的語を欠いた不完全文。
・先行詞を修飾する。
2.同格修飾のthat
・名詞節を作る。
・後ろには必ず完全文。
・前の名詞を同格で修飾。(~という~)
3.接続詞のthat
・名詞節または副詞節を作る。
・後ろには必ず完全文。
・主語、目的語、補語、副詞のいずれかとして使われている。
最後に
英文の読解で最も大事なことは文中のカタマリが名詞、形容詞、副詞のいずれの品詞の句、節として使われているかを見抜くことです。これができるようになれば読解力、リスニング力は格段にアップするはずです。
これでもう長文で that が出て来ても大丈夫ですね。
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。