英文の中で多用される could ですが、これを助動詞 can の過去形と考えて「~できた」と考えてはいけません。
could を含む助動詞の過去形の役割をしっかり理解することは英文を正しく訳す上で非常に重要です。
could は確かに can の過去形ですが過去の意味で使われていることはほとんどありません。
文中に could があったらまず仮定法ではないかと考えましょう。
仮定法でないと分かったら以下のいずれかだろうと考えてみましょう。
1.前後に動詞の過去形があったら時制の一致で can が could になっている。
2.過去の能力、可能性。現在の能力についての控えめな推量を表している。
3.時制の一致が無ければ丁寧な表現と考える。
1.前後に動詞の過去形があったら時制の一致で can が could になっている。
I thought he could speak English.
「私は彼が英語を話せると思っていた。」
※この could は thought の時制に合わせて形が過去形になっているだけです。
「話せた」という訳を当ててはいけません。
2.過去の能力、可能性。現在の能力についての控えめな推量。
The boy could swim across the pond.
この文を「その少年は池を泳いで渡ることができた。」と訳してはいけません。
このような日本語表現に対して could は用いません。
一回限りの行為が「できた」場合は be able to か manage to を使います。
could は使いません。
The boy was able to swim across the pond.
「その少年は池を泳いで渡ることができた。」
※実際に「泳いだ」事実を表しています。
The boy managed to swim across the pond.
「少年はなんとか池を泳いで渡った。」
上述の The boy could swim across the pond. には二つの訳が考えられます。
①過去の能力、可能性。
「その少年は池を泳いで渡ることが可能だった。」
※可能性はあったが実際には泳いでいない。
②現在の能力を控え目に推量している。
「その少年はたぶんその池を泳いで渡ることができる。」
※現在のことを言っています。
※ただし、できなかった時の否定文は could を用いる。この場合の could は過去の意味です。
The boy couldn’t swim across the pond.
「その少年は池を泳いで渡ることができなかった。」
現在の可能性を控えめに推量する場合にも could が使われます。
The phone is ringing. It could be Taro.
「電話が鳴ってるよ。」「太郎かも。」
You could do it.
「君ならできるかも。」
※「君はそれができた。」ではありません。
3.時制の一致が無ければ丁寧な表現と考える。
Could you do me a favor?
「お願いがあるんですが?」
Could I have a glass of water?
「水を一杯いただけますか?」
※could が過去を意味するのは could not「できなかった。」の時だけです。
「couldは仮定法のためにある。」と言われる所以です。
もう、これで英文中に could が出てきても大丈夫でしょう。
今回は以上です
ご精読いただきありがとうございました。