これまで第5文型 SVOC で使われる動詞の補語について取り上げてきました。
単語や熟語に意味があるように「文型」そのものにも意味があることや、似通った文型 SVOO と SVOC の見極めが英文を正確に読み取る上で非常に大事であることも繰り返し述べてきました。
今回は「はて?これは何文型?」と考えてしまうような文を作ってしまう3つの言葉 exhausted, brand-new, as excellent を取り上げてみます。
英語の自動詞には2種類あり、SV のように補語を必要としない自動詞を「完全自動詞complete intransitive verb」、SVCのように補語を必要とする自動詞を「不完全自動詞incomplete intransitive verb」と言い、ここで使われる補語を「主格補語subject complement」と呼びます。
他動詞にも2種類あり、SVO、SVOO の第3文型、第4文型で使われる補語を必要としない他動詞を「完全他動詞complete transitive verb」、補語を必要とする SVOC の第5文型で使われる他動詞を「不完全他動詞incomplete transitive verb」と言い、ここで使われる補語を「目的格補語objective complement」と呼びます。
ところが本来、補語がなくても文として完成しているはずの SV, SVO, SVOO の文のうしろに主格補語、目的格補語に相当するような形容詞、形容詞句がつく場合があります。
今回はその代表的な言葉 exhausted, brand-new, as excellent を取り上げます。この3つを外してもそれぞれ完全文として文型が成立していることを確認してください。
以下、例文を見ていきましょう。
exhausted
The Polish refugee children arrived at Maizuru Port exhausted.
「ポーランド難民の子供たちは疲れ果てて舞鶴港に到着した。」
※[exhausted]は[Polish refugee children]の状態を述べている「主格補語」に相当しているように見えるが、[exhausted]を消去してもすでに第1文型 SV として文自体は完成している。
General Aleksei Kuropatkin left Mukden exhausted.
「アレクセイ・クロパトキン将軍は疲れ果てて奉天を後にした。」
※[exhausted]は[General Aleksei Kuropatkin]の様子を述べており、「主格補語」に相当しているように思えるが、[exhausted]を除いてもすでに第3文型 SVO として文自体は完成している。
brand-new
I sold the secondhand bookstore my favorite comic books brand-new.
「お気に入りの漫画本を新品で古本屋に売りました。」
※[brand-new]は[my favorite comic books]の状態を述べており、OCが成立して「目的格補語」に相当しているように見える。しかし[brand-new]を消去しても既に第4文型 SVOO として文自体は完成している。
as excellent
His oil painting impressed us as excellent.
「彼の油絵は素晴らしいと私たちに印象づけた。」
※[as excellent]は主語[His oil painting]を述べており、「主格補語」のように思えるが[impress]は他動詞であり、SVCは成立しない。
また、[us as excellent]は主語、述語関係ではないので当然OCではない。この文は[as excellent]を除いても既に第3文型 SVO として文自体は成立し終わっている。
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。