形容詞の英文中の仕事は「名詞を修飾する」(限定用法)と「補語になる」(叙述用法)の2つです。
今回はその形容詞の中でも特殊な使われ方をする代表的な形容詞の話です。
3つの用法
形容詞が名詞を修飾することを「限定用法attributive use」と呼び、補語として使われることを「叙述用法predicative use」と呼びます。
またその補語もさらにSVC文型のCである主格補語とSVOC文型のCである目的格補語に分けられます。
今回はその形容詞の中で特殊な使われ方をしている形容詞に着目しました。
限定用法(名詞修飾)のみに使われるもの、
叙述用法(補語)のみに使われるもの、
そして限定用法と叙述用法では意味が異なるものの3種類について、
その代表的な単語をご紹介します。
1.限定用法(名詞を修飾)だけで使われる形容詞
2.叙述用法(補語)だけで使われる形容詞
3.限定用と叙述用法で意味が異なる形容詞
では、
1.限定用法(名詞を修飾)だけで使われる形容詞
※ほとんどの場合後ろに名詞が来ます。名詞に直接くっつけます。補語にはならない形容詞です。
elder 年上の elder brother(兄)
latter 後ろの latter half(後半)
upper 上の upper class(上流階級)
inner 内の inner pocket(内ポケット)
outer 外の outer garden(外庭)
utmost いちばん~ utmost importance(最重要)
2.叙述用法(補語)だけで使われる形容詞
※補語ですから、前には自動詞がきます。ほとんどの場合be動詞が来ます。
頭がaーで始まるのが特徴です。
よく見かける単語ですが、こんな使われ方だったんですね。
注意すべきは名詞の修飾には使われないというところです。
afloat 浮かんで
alike 似て
aware 気付いて、意識して
afraid 恐れて
alive 生きてる
ashamed 恥じて
averse 反対して
alone 一人で
asleep 眠って
awake 起きて、目が覚めて
※例外として[a baby asleep]「眠っている赤ちゃん」という表現はあります。この場合は限定用法でつかわれています。
3.限定用法と叙述用法で意味が異なる形容詞
※名詞を修飾する時と、補語の時では意味が違います。
①fond(楽しい、好き)
I have a lot of fond memories in Osaka.(限定用法)
「私には大阪での沢山の楽しい記憶がある。」
Taeko is fond of children.(叙述用法)
「妙子は子供好きである。」
②certain(或る、確かな)
I met him at a certain place in Tokyo.(限定用法)
「私は東京のある場所で彼に出会った。」
It is not certain why the accident happened.(叙述用法)
「その事故の理由は不確かだ。」
③ill(悪い、病気)
It was an ill luck for him.(限定用法)
「彼にとってそれは不運(悪い)だった。」
My grandfather is ill in the hospital.(叙述用法)
「私の祖父は病気で入院している。」
④late(最近亡くなった、遅れた)
The late president(限定用法)
「故前大統領」
He was an hour late this morning.(叙述用法)
「彼は今日1時間遅刻した。」
この4つの単語は私も多義語の一つと考えていました。
実際には「限定用法」とか「叙述用法」といった難しい文法用語はどうでもよく、文脈から適切な意味を導き出せればそれでいいわけですが、修飾語の場合と補語の場合では意味が異なるとわかり、整理されてスッキリした感じがします。
文法学習ではこの「スッキリ感」を感じることが大切なことだといつも思っています。
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。