仮定法は英文法の山場の一つです。ここをマスターして自信をつければ文法のゴールが見えてきます。
でも「法」ってどういう意味でしょう。「方法、つくり方?」いえいえ全然違います。
今回はこの何となくわかっているようでほとんどの人が説明できないこの「法」の話です。
英語には三つの「法」があります。英語では Mood ムードといいます。
Moodとは話し手が自分の話す内容をどう思っているかを示す動詞の形、述語動詞 predicate verb (5文型でいうところの V )の形のことです。
英語における「法」Mood は以下の3つです。
1.命令法(Imperative Mood)
2.直説法(Indicative Mood)
3.仮定法(Subjunctive Mood)
①命令法→希望や要求、提案を述べる命令文での動詞の形です。
②直説法→事実を述べる時の動詞の形。普段の英語、普通の表現がこれです。
③仮定法→非現実あるいはほとんど可能性のないことを述べる時の動詞の形。
どうでしょう?実際、仮定法に関する問題はほとんど動詞の形の事を問われていませんか?
仮定法の動詞(述語動詞)は独特の形です。これに困惑してこの文法単元でつまづく人も多い。
でもこの仮定法をマスターすると英語の表現が大きく広がります。
仮定法は:
・実際には叶わない、ため息が出るような強い願望。
・今となってはどうしようもないことを後悔する。
・言われた本人がどうにも出来ないことを引き合いに出して相手をネチネチ責める。
・実際にはありないことを仮定して、自分の意見を言う。
このような表現が得意です。
いずれも非現実、あり得ない、あるいは実際にその状態にない、行っていないことを仮定、想定して自分の気持ちを表明するのが仮定法です。
仮定法の独特の語法は以下の2点です。
1、過去の非現実(仮定)は過去完了形で表現します。
2、現在の非現実(仮定)は過去形で表現します。
つまり時制が一つ過去の方向にずれている。これが仮定法の核心です。このずれによって
聞き手、読み手に対して「いいかい?今からいうことは非現実だよ!」というサインを与えているわけです。
If I were you, I wouldn’t do that.
「僕が君だったら、そんなことしないな。」
直説法ではあり得ない were という単語が非現実感を表しています。
仮定法で必須のもの:
それは助動詞の過去形 could, would, should, might の4つ。これこそが実現の可能性を下げる象徴の単語です。仮定法の表現にはこのいずれかが必ずあると考えればわかり易い。
Could you~, Would you~が丁寧な表現になるのもこのためです。可能性の気持ちを下げているわけですから、相手にとっても断りやすいわけです。
動詞の過去形、助動詞の過去形が非現実や実現可能性、話し手の気持ちの強さ、圧力を下げるために使われています。
英文の中に助動詞の過去形が出てきたら、まず、
①前後に一般動詞あるいはbe動詞の過去形があったら→時制の一致で形の上での過去形。ただし、助動詞の日本語訳を過去形にしてはいけません。
② ①のような状況はなく、前後の文脈上、現実の話だと判断できる場合。→話し手の気持ちの強さを下げている表現と考えます。can は「できる」could は「できるかも」。mayは「かもしれない」might は「ひょっとしたら~かもしれない」とトーンダウンさせています。
③ ①、②に該当しないと思ったら非現実の話→仮定法でないかと考えましょう。
仮定法の出題の9割ぐらいは述語動詞(V)の形を問うものです。
「法」Mood は話し手の気持ちを表す動詞の形。ここに注目しましょう。
今回は以上です。
ご精読いただきありがとうございました。